これからの日本社会においては、人生100年時代を豊かに過ごすためのセカンドライフに向けた資産形成が、とても重要なテーマになってきています。
童話の『アリとキリギリス』の話ではないですが、しっかり勉強してコツコツと将来に備えて資産管理をしている人と、日々の仕事や家事の忙しさにかまけて何もしないで過ごしてしまう人の将来(セカンドライフ時)の資産の差は、もうびっくりするくらいの差になってしまいます。
そこで、その資産形成のための方法として、保険のことや資産運用のことについてお伝えしていきたいと思います。
最初にライフプランを考える!
まず最初にシンプルに、人生全体を俯瞰して眺めたライフプランを考えてみましょう。
特にセカンドライフについて、いつまで働きたいのか?そして収入が年金のみになるセカンドライフがいつから始まり、何歳まで生きるのか?を考えてみましょう。
何歳までいきるのか?はあくまでも想定ですが、今までは平均寿命の年齢を想定して計算していましたが、これからは100歳(人生100年時代)を想定することを推奨しています。
その理由は、医学の進歩や年々伸びている平均寿命をそのまま伸ばしていくと100歳になるという考え方もありますが、それだけでなく収入は保守的に支出が多めに見るということがライフプラン上安心だからです。
厚生労働省が2018年7月20日:平成29年簡易生命表の概況
ライフプランのシミュレーション上、将来生活費が足りなくなる場合には困ってしまいますが、多めにみて余る分には困らないという考え方からです。
仮に70歳まで働くとして以後100歳までの30年間の収入は年金だけだとします。
平成28年の総務省家計調査の平均データから、夫婦2人の老齢厚生年金の平均収入が27万円となっており、夫婦2人のゆとりある老後の支出(持ち家あり)が34.9万円となっておりますので、単純に月額7.9万円足りない計算になります。
足りない7.9万円×12か月×30年とすると、単純に2,844万円のお金が不足することになります。
それでは、退職金と合わせて70歳のリタイア前に2,844万円貯めれば良いかというとインフレのことを考えていないので、インフレのことを考えるともっと準備が必要になると考える必要がありそうです。
(収入と支出の金額は、各家庭ごとに違いますが、このぐらい足りなくなるだな!というイメージをもっておいて下さい。)
ライフプラン改善の3つの方法
これからの企業の退職金は厳しいことが予想されますし、このまま何もしないと老後破綻が想像できてしまいます。
老後破綻を避けるためにはライフプランの改善が必要になりますし、イメージしていただくために1つのモデルケースの数字を上げさせていただきましたが、実際にもほとんどの方が老後破綻しないための改善が必要な状況となっています。
ライフプランを改善するためには、シンプルに以下の3つの方法しかありません。
①収入を増やす:現在の国民年金制度は1961年にスタートしました。その当時の日本人の男性の平均寿命はなんと65歳でした。80歳前後になっている現在に一番現実的なのはその分長く働くということになると思います。今までは60歳定年でリタイアしていたのがこれからは65歳、70歳、75歳までと働くのが当たり前の時代になってくるかもしれません。
②支出を減らす:現実的に生活費がたりなくなるのならば、当然考えなくてはなりません。こちらは収入を上げることに比べ、自分の努力で確実に行える改善になります。特に住宅の次に高い買い物と言われている保険の見直しは一番最初に考えたいところです。
③お金を働かす(運用):これからは、最低でもインフレに負けない運用は必然です。資本主義は経済が成長することにより成り立っています。その成長により単純に年に平均2%のインフレがあった場合には、30年後に今手持ちの資金の価値は半分になってしまいます。現金は、持っているだけでは目減りしていく資産ということになります。
“②の支出を減らす”で生命保険の見直しをするケースのイメージですが、仮に世帯で月額3万円の生命保険を30年間払い続けたとしたら、なんとトータル1,080万円支払うことになります。
生命保険の見直しをして、この金額を1万円減らすことができたら(ケースバイケースですが、充分可能な金額です)、30年間でなんと360万円の削減になります。
この削減できた1万円を仮に5%の複利で30年間積立の運用をしたらなんと817万円になります。
見直さずに1080万円保険料を支払うAさんと、見直して720万円の保険料をその浮いた分の金額を運用して817万円受け取る2人の差は、なんと1177万円の差になります。
日本人は統計上生命保険を世界一掛けている国民です。経験上からもこのくらいの金額を見直せる方はたくさんいます。
ほけんの見直しについて
それでは、本当に保険を見直して(減らして)大丈夫なんでしょうか。
それを見ていきたい思います。
最初に保険についてに重要な考え方をお伝えします。
保険での準備に適している損害は、『起こる頻度は少ないけれでも、起きてしまったら家計が破綻するくらい大きな損害である』ということです。
例えば、「家が火事で全焼してしまう」ことや「自動車の人身事故で人が亡くなってしまう」そして「まだ子供の小さい一家の大黒柱が亡くなってしまう」などの損害は起これば家計が破綻するレベルのお金が必要になることは想像できると思います。
反対に『起こる頻度が多いが損害額はそんなに大きくならない損害』というのがあります。
その代表的なものには、「病気で入院すること」や「リタイア後の死亡」や「けがで通院」などがあげられます。
見直すべきは、損害のこの部分のカテゴリーになります。
医療費のことを見てみると、日本の公的医療制度は大変すぐれていて、高額療養費制度という制度で、月額平均的な所得の人がかかった医療費はどんなにかかっても、9万円前後を超えた分の医療費は制度が払い戻してくれます。
極端なことを言えば、9万円前後だったら保険に頼らなくても貯蓄で対応できるのではないでしょうか?
注意:末期のガン治療のときの保険があることによる安心感や他に差額ベット代、先進医療や自由診療などは公的医療制度の対象がである点など、医療保険が全くいらないという考え方は乱暴ですが、見直す余地は充分あると思います。
資産形成上貯蓄が貯まるまでは、医療保険が必要かもしれません。
緊急予備資金(基本生活費の半年~2年分くらい)や今後のお金のかかる大きなライフイベントへのための資産形成準備と蓄えがあり、それとは別に病気で長期入院した場合の先ほどの自己資金分の10倍程度(9万円×10回)ほどの療養用の貯蓄が用意できるのならば、全くとはいいきれませんが、医療保険は無くても困らないでしょう。
当然保険以外でも無駄な支出を見極め、保険と合わせてその無駄を減らし、その分を資産運用していくという改善で、資産が増えることで更に保険が必要なくなりまた金融資産が増える!という好循環になります。
そしてその分の資金を、今度は趣味や健康管理などにも使うことができ、それが健康増進にもつながり、末永く働くこともできるという好循環のループに入ることができるのです。
保険と運用は同時に考えないと危険
多くの方は、保険は保険、運用は運用、と別々に考えることが多いのですが、この2つは同時に考えるべきなのです。
考え方の手順は、自分のライフプランをつくり次にその実現のための目標リターンを定め併せてその実現を阻む可能性のあるリスクを洗い出し、金融資産で対応できるものは保有金融資産(これから積みあがるものも含む)で対応して、保有する金融資産では対応できないような大きな金額になる可能性のあるリスク、例えば一家の大黒柱の死亡や家が燃えてしまった場合の保障、車で人身事故で相手を死亡させてしまった場合の保障などを保険を使ってリスクマネジメントをするのが理想です。
また、保険と運用を別々で考えると上記のような両方を重ねて考えるべきところが見えず、販売側でもそれぞれの販売窓口がそれぞれの一番良い成績を引き出したい力も働き、保険のかけ過ぎや、保障のダブり、出口を無視した資産運用などで、損な状況や危険な状況に入ってしまうのです。
その意味で、ライフプラン→資産運用プラン→リスクマネジメントプラン(保険等)と全体が俯瞰して見ることができる資産管理が大事なポイントになるのです。
まとめ
資産形成の順番は、まず理想のライフプランを描く
そして、その実現のための目標リターン(どのくらいの利回りで運用するのか)を導き出し「投資信託など」、最後にその実現を阻むリスクを洗い出しリスクマネジメント「保険など」を行う。
資産運用は、NISAやIDECOなどを最大限活用し、貯蓄で対応できないリスクに対しては保険で準備を行い、ライフプランを俯瞰して無駄な部分を見極め、その浮いた分の資金を更に資産運用の上乗せにしていく!
少子高齢化の人生100年時代、将来の厳しい年金財政を考えると無駄を放置せず最大限効率的な資産管理をすることが重要になってきています。
以上、参考にしていただけましたら幸いです。
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