住宅

賃貸事業 法人化のタイミング

賃貸事業を行う際、個人事業で行うのが良いのか、法人にして事業を行うのがよいのかという質問を受けることが多々あります。

今回は、そのあたりのことについてまとめてみましたので参考にしてください。

法人化のタイミング

よく、1000万円基準みたいなものがあり、「家賃収入が1000万円を超えたあたりで」というようなことが言われていたりするのですが、これを鵜呑みにしてはいけません。

法人化を考える判断基準の1つは、個人と法人の税率の違いにあります。個人には所得税が掛かり、法人には法人税が掛かります。

所得税の税額表

 

課税所得金額税率控除額
1,000円〜1,949,000円5.0%0円
1,950,000円〜3,299,000円10.0%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20.0%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23.0%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33.0%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40.0%2,796,000円
40,000,000円以上45.0%4,796,000円

更に個人事業の場合には、上記に10%の住民税が加わるイメージです。

一方で法人の税率は、

課税所得が
~400万円以下で約22%、
400万円超~800万円以下で約25%、
800万円超で約38%となります。

上記に約7万円の均等割りという住民税も掛かってきますが、個人と法人の税率が逆転する課税所得は、おおよそ900万円というのが見えてきます。

課税所得が900万円を超えると所得税・住民税の方が43%(所得税33%+住民税10%)を超え法人税率より高くなるのが分かると思います。そのことから、個人の不動産所得だけで課税所得が900万円を超えているようなら、次に購入する物件は法人で購入した方が税金が少なくなるということになります。

ただし、これは専業の方の場合でサラリーマンをしていて副業で不動産賃貸事業を行おうとしている方の場合には既に給与所得がありますので、その所得に賃貸事業所得を合算して計算することになります。その場合には、早い段階で法人で購入した方が節税ができる!ということになります。

そのため、法人化のタイミングは人によって変わってくる!ということになります。

法人化のメリット

法人化によるメリットは、3つあります。

①所得税・住民税・事業税を軽減できる

法人化の最大のメリットは、何といっても人件費を活用できることです。個人の場合でも、青色事業専従者給与として、配偶者に給与を払うことができますが、他で勤めている場合には払えないなど制約が厳しい状況です。

個人の所得を、法人化した会社を通して家族に分散することで、税率を下げることができます。

役員になれる家族が多ければ多いほど法人化した方が良いよいうことになります。

それと、保険料が扱いが変わることも良く言われるところです。

個人では保険料をたくさん払っていても、生命保険料控除の上限額しか所得から控除ができませんが、法人の場合には要件がそろえば、保険料全額を控除することができたり、損金で控除しながら将来の老後資金のファンド(退職金)をつくることができたり、法人の方が有利になっています。

②相続対策にもなる

個人の所得を、家族に役員報酬として支払い分散することで相続財産の増加を防ぎ、将来の相続税負担を軽減することができます。

③ 相続税の納税資金対策ができる

法人から給与として受け取る収入を、将来の納税資金として蓄えることができます。

法人化のデメリット

①法人のお金は個人で勝手に使うことができない

ここは、大事なポイントになります。個人の場合には経費を引いた納税後の手取りが直接個人の財布の中のお金になり、事業が拡大すると個人で自由にできるお金が増えることになります。

しかし法人の場合は、納税後の手取りは剰余金となり、剰余金は会社には蓄えられますが、社長の給料ではありませんので、そのお金を社長個人が勝手に使うことができません。

役員報酬の設定は、最終的な利益の水準がわからない段階で決める必要があり、一度決めたら利益にあわせてコロコロ変えるようなことができないため保守的に算出する必要があり、一般的に役員報酬は個人事業主のときの報酬より低くなりがちになります。

更に、法人の利益が出過ぎると、法人化のメリットの1つだった給与所得控除がなくなります。そのため、法人化でしかできない節税手法などを押さえたり、別法人で収益不動産を買うなどの検討も必要になります。

②法人の設立費用がかかる

定款認証費用や登録免許税、税理士や、司法書士などへの報酬の支払いでおおよそ12万円~30万円ほどの費用がかかります。

③法人の場合には、赤字であっても最低限の税負担がある

所得がなくても法人住民税が課せられ、資本金1000万円以下の場合、法人住民税均等割:7万円(市民税5万円・県民税2万円)が掛かる。

④社会保険への加入義務が発生する

代表者1名だけでも強制加入になり、健康保険と厚生年金併せて給与の約30%の費用が掛かります。

⑤税理士費用等がかかる

法人化すると会計処理が複雑になり、顧問税理士などが必要になります。

まとめ

上記から、法人化については単純な税率比較だけでは決められないことが分かると思います。新たな費用負担や家族の状況(役員になれる家族の人数等)やメリット・デメリットを充分に理解して、最終的には専門家(税理士等)にご相談されるのが良いでしょう。