先日お客様からあった質問ですぐに答えられなかったことで、夫が先に亡くなり、遺族年金を受給しているのだが、この先の自分の年金はどうなるのか?
といった質問がありました。
1人1年金制度で、両方もらえず併給調整がある!といった程度のことは把握していたのですが、詳細については答えられず調べてみました。
調べると結構複雑で、その点につきまとめさせていただきましたので参考にしてください。
遺族年金とは
遺族年金とは、もしもの場合に残された家族が受給できる年金のことで、「遺族基礎年金」と、「遺族厚生年金」の2種類があります。
亡くなった方が加入していたのが『国民年金』の場合は「遺族基礎年金」を受け取れ、『厚生年金』に加入されていた場合にはその両方を受け取ることができます。
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金の支給要件は
①国民年金の被保険者もしくは、被保険者であった60歳以上65歳未満のものが死亡した場合
②老齢基礎年金の受給権者もしくは老齢基礎年金の受給資格期間を満たした者が死亡した場合
のどちらかに該当すれば、その遺族に対して、遺族年金が受給されます。
ただし、至急されるためには、その死亡した者の保険料納付期間と免除期間を加えた期間がその者の国民年金の被保険者期間の3分の2以上存在する必要があり、その対象者は子のある配偶者、もしくは子になります。
『子』の定義は、18歳未満の子または障害等級1級または2級の障害を持つ20歳未満の子になります。
遺族基礎年金の支給額は、満額の老齢基礎年金と同じで779,300円です。
また遺族基礎年金は、子の人数に応じて金額が加算され、第1子、第2子は、それぞれにつき22万4500円、第3子以降は、それぞれにつき7万4800円が加算されます。
子の加算はそれぞれの子が18歳(障害等級1級2級の障害を持つ場合は20歳)になった時に終了します。
遺族基礎年金は、死亡、婚姻、養子縁組によって受給することが出来なくなります。
遺族厚生年金
遺族厚生年金の場合は、妻に子供がいなくても遺族年金を受け取る事ができます。
遺族厚生年金の支給要件は
①被保険者が死亡した場合
②初心日において、厚生年金の被保険者であったものが、初心日から5年以内に、その傷病が原因で死亡した場合
③障害等級1級または2級の障害基礎年金の受給権者が死亡した場合
④老齢基礎年金の受給権者または老齢基礎年金の受給資格期間を満たしたものが死亡してしまった場合
以上4点が、遺族厚生年金の支給要件になりどれか1つに当てはまれば、遺族厚生年金が支給されます。
遺族厚生年金は受給賢者は、以下の通りになります。
①18歳未満のこのある妻または子
②18歳未満の子のない妻
③55歳以上の夫または父母
④18歳未満の孫
⑤55歳以上の祖父母
以上になり、遺族厚生年金の受給者には優先順位があり、妻⇒子⇒父母⇒祖父母⇒孫の順番になります。
上記②の18歳未満の子のない妻で30歳未満の妻は、5年間のみと有期で遺族厚生年金を受給することが出来ます。また③と⑤の場合は、遺族が60歳になった時に支給開始となります。
遺族厚生年金の貰える額は、通常の老齢年金のように、亡くなった人の加入期間や支払っていた金額で決定され、多く払っていればいるほど、貰える額が大きくなります。
更に、子のない妻に対しては、40歳以上65歳未満まで支給される、中高齢寡婦加算という給付があり、遺族基礎年金の支給されない分の補填の給付があります。
また、中高齢寡婦加算が受け取れる妻は65歳になると自分の老齢基礎年金を受け取ることが出来るようになるため打ち切りとなり、その後は昭和31年4月2日より前に生まれた妻は生まれた年月により給付額が変動する経過的寡婦加算に切り替えられますが、以降誕生の妻にはそれがありません。
これは、昭和31年4月2日以前生まれの世代は、第3号被保険者として、老齢基礎年金が満額支給されていなかったからです。
併給調整
60歳になって、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる人が、遺族厚生年金を選択すると、老齢厚生年金が支給停止になります。(どちらかの選択制)
1人1年金の原則があり、65歳以降は、それまでの選択制とは異なり、老後の厚生年金と遺族厚生年金を自動的に組み合わせや年金額は決定され支給されます。
まず、専業主婦などで65歳から老齢基礎年金だけを受け取る人は、
老齢基礎年金+遺族厚生年金
自分自身の老齢厚生年金を受給できる人で自分の厚生年金よりも遺族厚生年金額の方が多い人は、老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金の差額(遺族厚生年金−老齢厚生年金)
自分自身の老齢厚生年金の方が遺族厚生年金よりも多い場合の人は、
老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金の差額(遺族厚生年金の3分の2+自分の老齢厚生年金の2分の1−老齢厚生年金) とかなり複雑!
要は考え方は、まず自分自身の老齢基礎年金を受け取り、それに加え自分自身の老齢厚生年金のない方はそのまま遺族厚生年金を受け取れますが、自分自身の老齢厚生年金のある方は、自分自身の老齢厚生年金を受け取り、それに加えて遺族厚生年金は自分自身の老齢厚生年金との差額を一定の計算のもとに受け取れる!3階建ての考え方になります。
この金額は自分で計算するのではなく、一番受取が多くなるように自動で計算されますのでご安心ください。
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