相続対策 生命保険と贈与の活用

保険

日本の金融資産は60歳以上の世代に集中しているという現実があります。

実際にお金を使いたい若い世代に金融資産が少なく、
それが景気に悪い影響を与えている側面もあると思います。

一方で、少子化と増税で資産を相続する際に、
相続税を気にしなければいけない方が多くなっています。

60歳以上の世代に偏った金融資産を、これから子育てや住宅購入が
控えている消費が旺盛なはずの若い世代に資金移転して、そのことが同時に
相続税の対策になるということが理想です。

又、消費意欲が落ち着いている60歳以降に偏った金融資産を若い世代に移し、
その若い世代が子供の教育や住宅の購入そして遊興費などにどんどん
お金を使ってもらえるようになることが、ひいては景気が良くなる良循環生むことに
なります。

上の世代(祖父母)から下の世代(子や孫)に金融資産を移し、
ひいては相続税対策にもなる方法として、贈与と生命保険の活用が
とても有効です。

【贈与:暦年贈与】

暦年(1月1日~12月31日)ごとに贈与を行い、
その贈与額が年間110万円以下であれば、
贈与税がかからない制度のことを言います。

暦年贈与を行う場合には、
贈与契約書を作る、資金の受け渡しを行う、110万円以上の場合は
贈与税の申告を行う、などの注意点を抑える必要があります。

これは、今注目の『NISA』『ジュニアNISA』が活用
できるでしょう。

祖父母が子や孫のために生前贈与を活用し、
『NISA』や『ジュニアNISA』を使って資産形成の後押し
するイメージです。

注意としては、相続開始3年以内の贈与は相続税の課税対象に
なりますので、相続税対策も加味する場合には、早めに計画を
立てることが必要となります。

『NISA』は年間120万円の積立上限まで、『ジュニアNISA』は
年間80万円の積立上限まで5年間、その運用利回り分が非課税に
なる制度です。

それぞれ、『NISA』は暦年贈与の基礎控除110万円まで、
『ジュニアNISA』はその上限の80万円まで贈与を行えば
非課税で子や孫へ資産の移転を行うことができます。

その資金を、孫の教育資金や子の住宅取得資金などにあてる
ことができるのです。

注意点としては、『ジュニアNISA』は、『一般NISA』と異なり
払い出しのタイミングに制限がある点です。

ジュニアNISAでは、災害などやむを得ない事情がある場合を除き、
口座名義本人が18歳になるまで資金を払い出すことができません。

そのため、『ライフプラン』の中でそれぞれの資金の出口のタイミングと
それぞれの資金の使途とのバランスを見極めることが必要となります。

例えば、高校までの費用は『NISA』や学資保険の資金でねん出し
『ジュニアNISA』の資金は大学の費用や海外留学のための費用にあてるなど
プランニングすることができると思います。

仮に家族4人(夫婦2人子2人)の場合には、
年間で
夫婦2人=110万円×2人=220万円
子2人=80万円×2人=160万円
合計=380万円まで非課税で子や孫の世代に資金を
移すことができ、更に相続対策にもなるのです。

【生命保険の活用】

生命保険には、
相続税の死亡保険金の非課税枠:相続人1人あたり500万円
がありますから、
まずこの非課税枠がまだ使われていなかったら
この部分を最初に考えるのが良いでしょう。

例えば父(被相続人)・母・子・子といった家族構成の場合
父に対して、相続人は母と子2人の合計3人になりますから
父の生命保険の死亡保険金額の非課税枠は1500万円(500万円×3人)
となります。

仮に父の死亡保険が全部で1000万円だったら、あと500万円
まで非課税枠があるということになります。

契約形態は

契約者(父) 被保険者(父) 受取人=相続人(子)

その分の金額を、銀行から生命保険会社の口座に置き換えるイメージです。

次に、契約形態を
契約者=相続人(子) 被保険者(父) 受取人=相続人(子)

とした生命保険の契約を結ぶ方法があります。

毎年払う保険料は110万円の贈与の基礎控除内に設定して
子が父からその保険料分の暦年贈与を受けて、保険料を支払っていきます。

この場合、父の相続が発生して受け取る保険金は子の一時所得扱いになり
相続税とは切り離して税金を計算できます。

しかも一時所得は、保険金額−既払い込み保険料−50万円×1/2
に所得税がかかるという低い税率になっています。

いくつかの暦年贈与の活用のイメージをお伝えしましたが、
暦年贈与を行う場合には、定期の贈与とみなされないように
準備をしておく重要なポイントがあります。

定期の贈与とは、例えば10年間にわたって100万円ずつ贈与することを
約束した場合に、約束したときが契約の成立とみなされる贈与契約です。

その場合、将来にわたって1000万円もらえる権利の贈与契約があった
こととなり、一括して贈与税が課税されます。

定期の贈与としてみなされないようにするために
以下の3点を押さえることが重要です。
・贈与契約書を作る
・資金の受け渡しの記録を残す(通帳等)
・110万円以上の場合は贈与税の申告を行う

以上になりますが
ご質問やご相談などございましたら、お気軽にお問合せください。

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