エリア優先で住宅を探しているときに、時折「建築条件付き土地」という物件が出てくる場合があります。
この「建築条件付き土地」の契約は悪い点ばかりではないのですが、トラブルになることも多く、その注意点についてまとめてみたいと思います。
建築条件付き土地とは
「建築条件付き土地」とは、その土地を購入した場合にその土地に建築する建築会社が指定されており、購入後一定の期間内にその指定された建築会社と建築請負契約を結ばなければならない売地のことをいいます。
建売住宅の場合は、「土地と建物の売買契約」という1つの契約を結びますが、建築条件付き土地を購入して住宅を建築する場合は、「土地の売買契約」と「建物の建築請負契約」という2つの契約を結ぶことになります。
建物を建築する会社を決めておられる場合には、建築条件無しの土地を探さなければなりません。
但し「建築条件付き土地」でも、ごくまれに建築条件を外してもらえる事もあるので、その確認をされるのも良いでしょう。
その場合には、当初建物の部分でも見込んでいた利益を考慮して値上げされた土地価格に引き直されて、取引される場合が多いです。
大手ハウスメーカーが郊外の大規模な開発地の土地を「建築条件付き土地」として販売していることもありますし、地元の不動産会社や工務店が売主となって市街地で1区画から数区画の規模で販売されている、といった場合もあります。
既に建っている建売住宅や、決められた建物プランで建築される青田売りの建築住宅では、住宅購入者のニーズに応えられないことや、売主の事情などから、この「建築条件付き土地」の販売が増えてきました。
販売が増えてきた一方で、「建築条件付き土地」の契約の過程では、非常に多くのトラブルも発生していますので、取引の流れや注意点について次にまとめたいと思います。
建築条件付き土地の注意点
総額を把握する
土地と建物やその他の費用も合わせた総額の予算を把握しておく必要があります。
「建築条件付き土地」の場合は、土地の価格のみの記載で価格が安く感じられますが、建築費用がどのくらいかかるのかも確認してください。
又建築費だけでなく、建築確認申請費用、上下水道引き込み工事費用、外構工事費用、地盤調査費用などの料金が別途かかるのか、更に設備などのグレードを標準仕様からアップグレードした場合にはそのくらいの追加費用がかかるのか、といった必要となる資金の総額をできる限り契約前に確認することが重要です。
土地価格の安さにつられて売買契約をしてから、建物の建築工事請負代金を見て驚かれる方もいます。
建築会社をチェック
「建築条件付き土地」では、どの建築会社で住宅を建築するか、大手ハウスメーカーであったり、工務店であったり建売住宅の分譲を主要事業としている会社であることも多いです。
また、土地の売主の関連会社が指定されていることもありますし、なかには特定の1社のみに限らず、複数の建築会社から選択できるケースもあります。
また、土地の売主の関連会社が指定されていることもありますし、全くの別の建築会社が指定されていることもあります。 そして、なかには特定の1社のみに限らず、複数の建築会社から選択できるケースもあります。
土地の売買契約と建物請負契約までの期間をチェックする
「建築条件付き土地」を購入する場合のたいへん重要な注意点の1つとして、土地の売買契約と建物請負契約の時期が挙げられます。「建築条件付き土地」を購入した時のトラブルの多くが、この点にあるので特に注意してください。
「建築条件付き土地」の取引では、土地の契約の段階では建物のプラン(設計)が決まっていません。土地の売買契約をおこなってから、購入者と建築会社の間で建物プランの打ち合わせを重ねていきプランを確定させていくのが通常の流れです。
ですから、土地の売買契約の時点では建物の請負金額も確定しておりません。
しかし、実際には「建築条件付き土地」の売買契約をするときに、同時に建物の請負契約をするよう求められることがあるので、この点には注意が必要です。
建物のプランを決めて請負契約を結ぶまでには、ある程度の期間が必要であるため、同時に契約をせずに期間を設けるようにしてください。
実際に、希望のエリアで中々物件が出てこなっかったところ、やっとこの「建築条件付き土地」が売り出され、エリア重視のため飛びついたところ、業者が強引なタイプで「土地の売買契約」と「建物の請負契約」を同日に結ばされ、その後建物のプランの説明もなくずっとほっておかれた後に心配になって、私のところにご相談に来られた方がいた、という事例がありました。
その方は、できれば契約を取りやめたいが、売主に言いずらいのと、キャンセルの場合には手付金を放棄しなければならないなどのことから、どうすることもできないでおられました。
建物についての詳しい説明もなく「土地の売買契約」と「建物の請負契約」の同日契約は違法であることを伝え、そのことを県の都市整備局で確認をして売主に伝えるようにご相談者に促し、売主にキャンセルの申し出をしてもらったところ、売主が白紙解除に応じた、ということがありました。
この部分で確認する注意ポイントとしては、建築条件付き土地の売買契約をしてから建物の建築請負契約をするまでの期間の目安は3か月と考えておきましょう。このことを購入検討段階で売主または不動産仲介業者に確認しておくのが良いでしょう。そして、このことは土地の売買契約書の中に明記してもらうようにしてください。
建築条件付き土地の売買契約に停止条件があるか確認をする
「土地の売買契約」と「建物の建築請負契約」の2つの契約は連動するものであり、「建物の建築請負契約」が成立しなければ「土地の売買契約」のみ残ってしまうわけにはいきません。
そのため、土地の売買契約を結ぶ際にはその契約書に停止条件を付けることとなります。
その停止条件の内容は、“ある一定の期間内に検討している建物が建たない事がわかった場合には白紙解約できる”のような文言になります。そして、白紙解約となったときには、手付金等の買主が支払った金銭を返金することが明記されているかも重要なチェックポイントです。
そして、上記のような解約となった場合に、売主が買主に違約金や損害賠償を求めることができないことも重要です。今までに、違約金が生じると記載されていた契約書もありましたので良く確認してください。
またある事例では、当初予定した建物が建たないことがわかり建築請負契約を見送り土地の売買契約も解除になったところ、それまでの設計料の負担を求められるというケースもありましたが、原則として設計料を負担する必要はありませんのでご注意ください。
このように、建築条件付土地に絡む問題は多いため、十分に注意する必要があります。
建築条件付き土地の住宅ローン
「建築条件付き土地」の契約には、「土地の売買契約」と、「建物の請負契約」の2つの契約が存在することになります。
住宅ローンというのは、建物が完成した時に融資を受けるのが基本になります。
しかし、土地を先行して取得する場合、どうしても建物完成前に土地の決済を行わなければなりません。
土地の分を現金で購入できる方は良いのですが、土地の支払いにも住宅ローンを予定される場合には、建物が完成するまでの間をつなぐ、つなぎ融資(住宅ローンではないので多少金利が高くなります)を利用するか、分割実行(建物完成時の決済の前にも数回に分けて実行してもらえる)が可能な銀行で借入する必要があります。
都市銀行であれば、融資金を分割実行(土地決済時と建物決済時)にわけて実行してもらえるケースが多いです。
しかし、ネット銀行の場合には建物完成時にしか融資してもらえないことがほとんどのため、建築条件付き土地購入のケースでは不向きかもしれません。
また、建物代金の支払時期にも注意が必要です。
建物の手付金だけを先に支払い、残りは建物完成時に払えば良いケースの場合だと、分割実行を行っている銀行で融資を受ければ、つなぎ融資を利用する必要はありません。
しかし、建物代金を着工時、上棟時、完成時など複数にわけて支払わなければならない場合には、完成前の支払いを自己資金で支払えれば問題ありませんが、そうでない場合には融資金で補うことになります。
その回数に分けて分割実行をしてくれる金融機関があれば良いのですが、そうでない場合にはつなぎ融資を利用することになります。
そういったことから、「建築条件付き土地」の住宅ローンを検討する場合には、金利や保険以上に、柔軟に分割実行をしてくれたりつなぎ融資の斡旋や連携のある金融機関を選択することが必要になります。
上記から、建物代金の支払いの回数の確認や、建物完成までを見据えた資金計画をたてることが重要になります。
以上参考にされてください。
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